資源論的に言えば、増加する資源の利用が低位にとどまっているのはよろしくない、だからともかく需要量を増やせ、ということになるのだろう。合板メーカーや集成材メーカーも「国産材が利用されなくて困るって言ってただろ。こっちは使う量を増やしてるんだから文句を言われる筋合いはない!」と言うんだろうな。
だけど、政策だってもっと質的な面に着目した戦略を強化してもいいんじゃないだろうか。今のままだと国産材が使われるのって、大壁用の構造材だったり、下地材だったりと、見えない部分ばかり。もっとも無垢材もそれは変わらなくて、KD管柱やKD間柱、タルキ等々はみんな見えないところに使われるもの。ただ、製材工場の方が合板工場や集成材工場よりも丸太を高く買ってくれるから(質の安定した丸太が必要だから)、林業的にはやっぱりこちらの方が好ましい。
だけど! やっぱり木って見えるところに使われてこそなんぼだと思うんだよな。最近は国産材の床板や羽目板も健闘してはいるけど、はっきり言って、平均的なグレードの物で言えば、外材の方が品質が良いものが多いんじゃないかな。埋め木をしてるものなんかないし、目も詰んでるし。某建材メーカーのニュージーランド産ラジアータパインなんか、ずっと枝打ちをしてきたということで、目粗ではあるけど無節の柾目で床板や羽目板をつくって市場投入してきている。「外材なんて」という先入観を抜かせば、それがけっこう悪くない。
それに引き換え、国産材って「手入れ不足」って言われるだけあって、消費者目線で言えばイマイチの商品が多い。「間伐材ですから」とか言わなくて済むような、埋め木のないものや芯を外したもの(芯近くの板材は見た目が良くないし、髄のところがもろい)なんかが、もっと普通に入手できるようにならなければ価格的なことも含めて外材に対抗するのは厳しいような気がする。「手入れ不足の間伐材ですから」なんて言い訳にならない。消費者が聞いたら何て思うだろうか。
どうやって国産材で質の高い商品を市場投入していくか。そんな戦略をきっちり立てるべき時に来ていると思う。主伐再造林対策を云々するよりも、こっちの方がよほど重要じゃないか。いますぐに効果は出なくても、いまからやっておかないと永遠にそのステージには上がれない。
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